日本に昔から自生していた撫子(ナデシコ)で、源氏物語にも登場するカワラナデシコ。
楚々とした雰囲気の花で、花びらに細かい切れ込みが入るのが特徴です。
今回の記事では、カワラナデシコの育て方や、増やし方、植え付け方などについてご紹介します。
カワラナデシコはどんな花でしょう?
日本全国の、日当たりの良い草原や河原に見られる多年草です。日本で一般にナデシコと言うと、昔から自生していた本種(カワラナデシコ)を指します。ヤマトナデシコとも言われています。
中国、台湾や朝鮮半島などにも自生しています。
万葉集や源氏物語にも登場しますし、秋の七草の一つにもなっています。古くから慣れ親しまれている花です。
花は茎の先にいくつか咲き、花びらには細かく深い切れ込みが入っているのが特徴です。花径は4cmほどで、花色はピンクや白があります。蕾がゆるゆるとほどけて花が咲いていく様子は、とても風情があります。
花が繊細な印象で葉も細く長いですので、はかなげに見えるのですが、丈夫で育てやすいですので、初心者の方でも安心して育てる事が出来ます。
最近では、カーネーションとの交配で、数多くの品種が作出されています。
カワラナデシコ |
科名 ナデシコ科 |
特性 多年草 |
花期 5~9月 |
草丈 30~80cm |
耐寒性 強 耐暑性 弱 |
カワラナデシコの育て方は?
適した場所
日当たりと風通しの良い場所で、少し乾かし気味で育てましょう。
土は、水はけの良い土が適しています。
夏越し
高温多湿には、あまり強くないです。風通し良くして育てましょう。
梅雨の前に、伸びた茎を株元近くで切り戻しておきます。
冬越し
耐寒性はありますが、寒さの厳しい地域で鉢植えにしている場合には、冬は軒下など霜の当たらない場所に移動させると良いでしょう。
増やし方
種まきと挿し木、株分けで増やすことが出来ます。
カワラナデシコは短命ですので、予備の苗を作っておく方がいいですね。
種まき
適期は、春(3~4月頃)と秋(9月頃)です。
①トレーなどに、種まき用の土を入れて水で湿らせておきます。
イチゴパックや豆腐のパックなどの底に穴を開けて、利用していますよ!
②種が重ならないようにばら蒔きにして、軽く土をかぶせます。かぶせたら、手のひらで軽く表面を押さえます。
⓷種が流れないように、優しく水やりします。
*発芽するまでは、土を乾かさないように管理します。
*本葉が2~3枚出てきたら、ポットに植え替えます。さらに育ち、ポットの土に根が回ってきたら、花壇や植木鉢に定植します。
挿し木
適期は、春(3~5月頃)と秋(9~10月頃)です。
①ポットに赤玉土か挿し木用の土を入れて、水で湿らせておきます。
②茎を切り取り、2~3節(節:葉が付いている部分)ずつに分けます。
⓷下の節に付いている葉を取り除き、残った上の節の葉を半分くらいに切り取り、挿し穂を作ります。
蒸散を防ぐために、葉を切るのだっぴー
⓷挿し穂を、下の節が土の中に隠れるように挿します。
④たっぷりと水やりをして、明るい日陰で管理します。
*発根するまでは、土を乾かさないように気を付けます。
*発根して、ポットの土に根が回ってきたら、花壇や植木鉢に定植します。
*脇芽(花芽が付いていない、若い芽)を挿し芽しても良いです。
株分け
適期は、春(3~5月)と秋(9~10月頃)です。
①株を掘り上げるか植木鉢から取り出し、土を落とします。
②芽を確認して、それぞれの株に3~4芽付くようにハサミで固まった根鉢を切ります。
株分けする時には、あまり細かく分けてしまうと、株が再生するのに時間がかかってしまいます。3~4芽ずつに分けるのが一般的です。
⓷芽を傷めないように気を付けながら、手で株を割ります。
④分割したそれぞれの株を植え付けます。
株が混み合って、花付きも悪くなってきたら株分けするといいのだっぴー!
植え付け
適期は、春(3~5月)と秋(9~10月)です。
地植えの場合
酸性の土は少し苦手ですので、2週間くらい前に、植え付ける場所の土に苦土石灰を混ぜ込んで、よく耕しておきましょう。
堆肥や腐葉土も一緒に混ぜて、耕しておきます。
①植え付ける場所の土に元肥の緩効性肥料を混ぜて、土の表面を平らにします。
②植え穴を掘り、ポットから取り出した苗を置いて、高さを調整します。
⓷苗の周りにも土を入れて、土の表面を手のひらで軽く押さえます。
④たっぷりと水やりします。
*株と株の間は、20~30㎝くらいあけるようにしましょう。
鉢植えの場合
①植木鉢の底に、ネットに入れた鉢底石を敷きます。
②鉢底石の上に、鉢の高さの3分の1位の高さになるように土を入れます。土は、赤玉土7:腐葉土3で配合した土か市販の草花用培養土で大丈夫です。
⓷ポットから取り出した苗を置いて、高さを調整します。
鉢の縁から2cm位下に土の表面が来るように、ウォータースペースを空けておきましょう。
④指や棒などで土をつつきながら、隙間のないように周りにも土を入れます。
⑤土の表面を手のひらで軽く押さえたら、鉢底から流れるくらいたっぷりと水やりします。
植え替え
適期は、春(3~5月頃)と秋(9~10月頃)です。
根が良く張る性質ですので、鉢植えの場合は毎年、地植えの場合は、株分けしたタイミングで植え替えをすると良いです。
植え替えする時は、根に付いている用土を出来るだけ落として、古い根を切って、新しい土に植え替えるほうが、生育が良いです。
水やり
乾燥には比較的強いです。
地植えの場合・・・ほぼ水やりの必要はありません。降雨にまかせます。真夏などに雨の降らない日が続いて、乾燥が続くような場合は、たっぷりと水やりしましょう。
鉢植えの場合・・・土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりします。
水をやりすぎると、湿気が多くなって蒸れてしまうのだっぴー。根腐れもおこしやすくなるのだっぴー
肥料
植え付けの時に、緩効性肥料を施します。
それ以降は、春と秋に緩効性肥料か油粕を少量施すか、又は春と秋の生育期(夏場を除く)に、薄めた液肥を2週間に一度程度施すかします。
夏場は、株も疲れているので肥料は切りましょう。
病害虫
病害虫の被害は少ないですが、アブラムシが時々付くことがあります。見つけたら手で取り除くか、薄めた牛乳をスプレーします。
ひどい場合は、薬剤を散布します。
アブラムシは、汁を吸って植物を弱らせるのだっぴー!
病気も媒介するのだっぴー!
必要な作業
摘心(枝先を摘む)
茎が伸びて花芽が付き始めたら、茎の先端を2~3cmぐらいこまめに摘心(枝先をハサミで切ります)すると、脇芽が伸びて花数が増えます。
切り戻し
梅雨の前に、伸びた茎を株元で切り戻しておきましょう。風通しがよくなります。
花がら摘み
花は茎の先端だけにいつくか咲きますので、茎のすべての花が終わったタイミングで、花がらを茎から切り取りましょう。
採種(種取り)
種を採る場合は、花がらの付いた茎をいくつかそのままにしておきます。花がらが枯れて茶色くなってきたら、種を収穫して種まきの時期まで冷暗所で保管します。
種を採るときは、種が出来る部分か茎の先全体に袋(お茶のパックが使いやすいですよ!)をかぶせて、開いている部分を折り曲げて、ホッチキスで止めます。種がはじけても、収穫できますよ!
まとめ
楚々とした和の雰囲気が可憐な、カワラナデシコ。細い切れ込みが入った花びらがとても素敵です。見た目は繊細でか細い感じがしますが、もともと日本に自生している花ですので、わりと丈夫で育てやすいです。趣のあるお花ですのでおすすめです。ぜひ育てて下さいね!
カワラナデシコの育て方のポイントは・・・
- 日当たりと風通しの良い場所で
- 土が酸性に傾かないように気を付けて
- 梅雨の前に、株元で切り戻して
あなたのお庭やベランダに、可憐なカワラナデシコの花が咲きます様に。
たくさん咲かせてほしいのだっぴー!!
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