古くから親しまれているハーブ、ラベンダー。
すっきりとした花姿と心地よい香りが魅力です。
今回の記事では、ラベンダーの育て方、系統と植え付けや増やし方、お手入れの仕方などについてご紹介します。
ラベンダーはどんな花でしょう?
鮮やかな色合いのお花と、心地よい香りが特徴のとても人気のあるハーブです。古くから、ポプリや精油などに利用されてきました。
常緑性で、原産地は地中海沿岸地域です。基本的には高温多湿の環境には弱く、乾燥した地域を好む植物です。

花色は、鮮やかな紫色の他に、白やピンクもあります。開花時期は、基本は春ですが、四季咲き性の品種もあります。
花壇に植えても、鉢植えやコンテナなどで育てても素敵です。広い場所に群生させてみても、美しい景色になります。

もともとは茎や幹が木質化する植物(木本性)ですが、草花的な扱いにされることが多いです。
多くの系統があり、系統によって耐寒性や耐暑性、香りの強弱、草丈などが異なりますので、植え付ける地域や場所、好みに合ったものを選ぶようにしましょう。

*犬や猫などのペットがラベンダーを食べると、精油成分が下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすことがありますので気を付けましょう。
ラベンダーの系統
〇アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー、コモンラベンダーなど)
ラベンダーの代表とも言える系統で、香りが最も強く、香料用としての栽培が多いです。花色は鮮やかな紫色です。開花時期は4~6月頃です。耐寒性が強いですので、北海道などの寒冷な地域でも、多く育てられています。高温多湿に弱いですので、温暖な地域での夏越しが難しいです。
〇ラバンディン系(グロッソなど)
原種のスパイクラベンダーとイングリッシュラベンダーの交配によって育成された系統です。比較的暑さに強く、寒さにも強いですので初心者でも育てやすいです。花穂が長く、草丈も高めに育つのが特徴です。開花時期は6~7月頃です。生育も良く、香りも良いですので、温暖な地域でラベンダーを育てる場合は、おすすめの系統です。
〇ストエカス系(フレンチラベンダーなど)
花穂に、ウサギの耳のような苞葉がある姿が個性的な系統です。暑さに強いですので、夏越ししやすいですが、耐寒性はやや弱いです。ですが、温暖な地域でも冬に枯れてしまうことは少なく、栽培しやすいです。開花時期は、4~6月頃です。
〇デンダータ系(フリンジラベンダーなど)
葉に細かい切れ込みが入った、四季咲き性のある系統です。香りは少し弱めになります。暑さに強いですので、温暖な地域で栽培するのに向いていて、冬にも開花します。寒冷な地域では、冬場は防寒対策が必要です。
〇プテロストエカス系(レースラベンダー、ピンナータ ラベンダー)
葉にレースのような切れ込みが入り、花穂が3つに枝分かれして開花します。四季咲き性で開花時期が長いです。暑さには強のですが、寒さには弱いです。ラベンダーの香りはほとんどしません。耐暑性がやや弱く、耐寒性もそれほど強くありません。

我が家は温暖な地域ですので、残念ながら夏の暑さで枯れてしまったことがあります(涙)。

耐寒性や耐暑性が系統によって異なるので、育てる環境に合ったものを選ぶようにすると良いのだっぴー。
| ラベンダー | |
| 科名 シソ科 | |
| 特性 低木、ハーブ | |
| 花期 5~7月(四季咲き性の品種あり) | |
| 草丈 20~130cm | |
| 耐寒性 強~普通 耐暑性 強~普通 |
ラベンダーの育て方は?
適した場所
日当たりと風通しの良い場所が適しています。
夏に、強い西日や直射日光が当たる場所は避けましょう。
夏越し
夏の高温多湿の環境が苦手ですので、鉢植えで育てている場合で、梅雨の長雨の時期などには軒下など、雨の当たらない場所に移動させましょう。
地植えにする場合には、夏場に強い西日が当たらない、水はけの良い場所を選びましょう。
冬越し
北風が強く当たる場所や地面が凍結する場所を避けましょう。
水やりを控えめにして、乾かし気味で育てます。
系統によって耐寒性に差がありますので、それぞれに合わせた防寒対策をします。
増やし方
種まきと挿し木で増やすことが出来ます。
種まき
適期は春(3~4月頃)です。気温20℃くらいが適温です。

種を水に一日つけて湿らせたものを、1~2週間くらい冷蔵庫に入れてから(低温処理)種まきすると、発芽が良いのだっぴー!
①底に穴の開いたトレーなどに、種まき用の土を入れて水で湿らせておきます。土は新しいものを使いましょう。
②土の上に、まばらに散らばるように種をまきます。薄く土をかぶせたら、土の表面を手のひらで軽く押さえておきます。
③優しい水流で、水やりをします。
*発芽するまでは、土を乾かさないようにして、明るい日陰で管理します。本葉が3~4枚出てきたら、ポットに植え替えて、日向で育てます。

草花用培養土の上に1.5cm位種まき用の土をかぶせたポットに、種まきしても良いですね。植え替えの手間が省けますよ。ポットに十分に根が回ったら、花壇や植木鉢に定植しましょう。
挿し木
適期は、5~6月頃です。秋(9~10月頃)でも大丈夫ですが、春に行う方が苗の状態で夏越しがしやすいですのでおすすめです。
①ポットに挿し木用の土か又は赤玉土を入れて水で湿らせておきます。土は新しいものを使いましょう。
②しっかりとした枝の先を切り取り、2~3節くらいに切り分けます。下の節の周りに付いている葉を取り除き、残った葉は半分くらいの大きさにカットして挿し穂を作ります。
③挿し穂の葉を取り除いた下の節が土の中に隠れるように、ポットの土に挿します。
④優しい水流でたっぷりと水やりします。
*発根するまで土を乾かさないように、明るい日陰で管理します。ポットに根が回ってきたら、花壇や植木鉢に定植します。

温暖な地域の我が家では、夏越しが難しいですので、毎年挿し木をして株を更新するようにしています。挿し木は、割と容易に出来ますのでおすすめです。

挿し木をしておくと、安心なのだっぴー!
植え付け
適期は、春(3~4月頃)です。秋(9~10月頃)でも大丈夫です。
いずれの品種も蒸れには弱いですので、日当たり風通しのよい場所で水はけ良く植え付けましょう。
地植えの場合
強い西日が当たらない場所に、水はけを良くして植え付けます。

ラバンディン系やデンタータ系が、地植えにはおすすめなのだっぴー。
①酸性土壌を嫌がりますので、植え付けをする2週間くらい前に、植え付ける場所の土に苦土石灰を混ぜて深めに良く耕しておきます。たい肥や腐葉土も一緒に混ぜておきましょう。水はけを良くするために、軽石小粒や川砂、パーライトなども混ぜておくと良いです。
②植え穴を掘り、ポットから取り出した苗を入れて高さを調整します。元肥の緩効性肥料を少量施しておきましょう。
③周りにも土を入れたら、土の表面を手のひらで軽く押さえておきます。
④優しい水流でたっぷりと水やりします。
*水はけをよくするために、周囲より土を盛り上げて(高畝)、他の植物との間隔は広めにあけて(40~50cm程度)植え付けるようにしましょう。
鉢植えの場合
大きすぎる鉢に植え付けると過湿になってしまいますので、ポットより2回り程度大きな鉢を選びましょう。
①植木鉢の底に、1.5cm位の高さまで鉢底石を敷きます。
②鉢底石の上に、土を入れます。元肥の緩効性肥料を少量施しておきます。
土は水はけと通気性の良いものが適しています。市販のハーブ用培養土か草花用培養土に軽石小粒やパーライトなどを混ぜた土、又は赤玉土6:腐葉土3:パーライト1で配合した土でも大丈夫です。いずれの場合も、少量の苦土石灰を加えても良いです。

ハーブは、弱アルカリ性の土を好むのだっぴー。
③土の上に、ポットから取り出した苗を置いて高さを調整します。
鉢植えの場合も、水はけを良くするために株元を、周囲より少し高めにして植え付けると良いです。
④周りにも隙間のないように土を入れたら、土の表面を手のひらで軽く押さえておきます。
⑤鉢底から流れるくらい、たっぷりと水やりします。
水やり
土がいつも湿っている状態は苦手ですので、乾かし気味に育てます。
土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりします。お花が咲いている期間は、水切れしないように気をつけましょう。
夏場は、過湿にならないように気を付けましょう。冬場は、乾かし気味に育てます。冬場の水やりは、回数を少なくして、午前中に行いましょう。
肥料
肥料は、少な目に施しましょう。肥料が多いと徒長(ヒョロヒョロと伸びすぎる)してしまい、花付きも少なくなってしまいます。
植え付けの時に、元肥の緩効性肥料を少量施します。
その後の追肥は、春(3~4月頃)と秋(10月頃)に緩効性化成肥料を少量、株元に施します。
病害虫
灰色カビ病
湿度が高く、日照が少ないときに発生しやすいです。発生した場合は、病気の部分を取り除きましょう。梅雨の時期にかかりやすいですので、注意が必要です。
アブラムシ
新芽や蕾に付いて汁を吸います。病気を媒介することもありますので、見つけたら早めに取り除きましょう。
ハダニ
葉の裏に寄生して汁を吸い、葉をカスリ状にしてしまいます。葉の裏側に水をかけるようにすると、予防できます。
必要な作業
花がら(咲き終わった花)摘み
花がらは早めに摘み取るようにしましょう。株が弱るのを防ぎ、風通しも良くなります。
収穫
香りのピークは、蕾が開き始めたころです。お花が3分~5分咲きの時期に収穫すると、良い香りが長く残りやすいです。朝の涼しい時間帯に収穫しましょう。室内で逆さに吊り下げて乾燥させます。
剪定
収穫の時か、又は花が終わった後に、草丈の半分くらいの位置で全体を剪定しましょう。この時、葉が付いている茎の部分を、必ず残すようにしましょう。
また、大株になると枝が込み合って来ますので、枝を適宜間引くようにしましょう。風通しが良くなり、蒸れを防ぐことが出来ます。
まとめ
ラベンダーは、かわいいお花を咲かせてくれる上に、優しい香りがとても素敵なお花です。今まで何種類か地植えで育てていますが、残念ながら枯れてしまったものもあります。我が家は温暖な地域ですので、夏越しが難しいです(涙)。毎年、挿し木をして小苗を作るようにしています。今は更新して育てているイングリッシュラベンダーが元気にお花を咲かせてくれています。お住いの地域に合った品種を選んで、ぜひ育ててくださいね。おすすめです!
ラベンダーの育て方のポイントは・・・
- 日当たりと風通しの良い場所で
- 土は乾かし気味で
- 肥料は少な目で


あなたのお庭やベランダに、たくさんのラベンダーのお花が咲きます様に。


香りが良い、かわいいお花を咲かせてくれるのが楽しみだなっぴー!

コメント