とても大きくて華やかなお花を咲かせてくれる、シャクヤク。
ヨーロッパなどでも人気があり、たくさんの園芸品種が毎年作出されています。
今回の記事では、シャクヤクの植え付けや株分け、お手入れの仕方などについてご紹介します。
シャクヤク(芍薬)はどんな花でしょう?
原産地は、中国や朝鮮半島北部、シベリアなどです。
つやのある葉が茂り、葉の間から伸ばした茎に、大きくて豪華なお花を咲かせてくれます。花色は、赤、ピンク、白、黄、複色などがあり、咲き方も、一重咲きから翁咲き(雄しべが花びらになったもので、花の中心部分が盛り上がって咲く)、八重咲きなどさまざまです。花には、ほんのりと優しい香りがあります。

手のひらほどの大きなお花が咲きますので、一株植えるだけでとても華やかになります。また、切り花としても、とても人気があります。
中国では、お花から根まですべて使用できる薬用植物として、昔から栽培されてきました。日本でも、古くから「茶花」として親しまれてきました。品種改良が進み、現在では数多くの園芸品種が作られていて、毎年新しい品種が流通しています。


シャクヤクとボタンの違いは?
どちらのお花もボタン科のお花ですが、ボタンは冬も地上部に枝が残る小低木で、シャクヤクは冬に地上部が枯れてなくなる草花ですよ。ボタンは4月から咲き、葉にはツヤがありませんが、シャクヤクは5月が見頃で、ツヤのある葉を持ちます。

最近では、シャクヤクとボタンを交配させた品種もあるのだっぴー!
シャクヤク(芍薬) | |
科名 ボタン科 | |
特性 多年草 | |
花期 5~6月 | |
草丈 50~100cm | |
耐寒性 強 耐暑性 普通 |
シャクヤク(芍薬)の育て方は?
適した場所
日当たりと風通し、水はけの良い場所が適しています。日当たりを好むのですが、明るい日陰の場所でも育てられます。
土は、有機質が豊富で肥よくなものを好みます。
どちらかというと寒冷な地域の方が育てやすいですが、温暖な地域でも植え付ける場所に気を付けると、元気に育てる事が出来ます。

温暖な地域の我が家では、東側の庭に地植えにしています。西日が避けられて、午前中だけ日が当たる場所です。わりと環境が合っているようで、何年も元気に育っています。花付きは若干少なめです。
もう一つ別に育てていたシャクヤクは、「西日が当たるのがほんの少しだから、大丈夫」と思って植えたのですが、残念ながら枯れてしまいました(涙)。植え付け場所を選ぶのは、とても大事ですね。
夏越し
強い日差しや西日が当たらない場所で管理しましょう。
地植えの場合・・・春から夏にかけての期間は根元の乾燥を防ぐために、藁やウッドチップなどでマルチングをしておくと良いです。
鉢植えの場合・・・強い日差しが当らない、半日陰の場所に移動させましょう。真夏は特に、水切れしないように気をつけましょう。
冬越し
冬は地上部が枯れて無くなりますが、春になるとまた芽吹いてきます。地上部が枯れて来たら、地際で茎葉をカットしておきましょう。
耐寒性が強いですので戸外で冬越しできますが、寒冷な地域では株元をマルチングしておくと無難です。

増やし方
株分けで増やす事が出来ます。
株分け
適期は、秋(9~10月頃)です。

株分けをする数日前から、水やりを控えておくと株分けしやすいのだっぴー!
葉は、半分くらいにカットしておくのだっぴー!
①株を掘りおこすかまたは鉢から取り出して、固まった根鉢を叩くようにして土を落とします。
②新しい芽を確認したら、一株に3~4芽くらいずつ付くように、固まった根鉢をハサミでカットします。芽を傷つけない様に気を付けながら、手で株を割ります。なるべく根を切らないようにしましょう。

あまり細かく分け過ぎると、株の再生に時間がかかってしまいます。少し大きめにざっくりと分ける方が良いですよ。
③それぞれの株を植え付けましょう。
*株分けする場合は、鉢植えの場合は2~3年に一回、地植えの場合は5~6年に一回くらいの割合で行います。親株の周りの地際に、子株が出て塊になったものを分けても良いです。
植え付け
適期は、秋(9~10月頃)です。
秋に出回るポット苗は、芽がたくさん付いていて、しっかりと大きく芽が膨らんだものを選びましょう。

小さめのポット苗を購入した場合には、翌年にはお花が咲かない事が多いです。実際、我が家でも次の年には咲きませんでした。確実にお花を咲かせたいのであれば、春に出回る開花株を購入すると良いですよ。
地植えの場合

真夏に強い西日が当たる場所は、避けるのだっぴー!落葉樹の下などが最適なのだっぴー!

一度植え付けたら、あまり植え替えをしない方が良いですので、植え付ける場所をしっかりと選びましょう。根が太く張って大きく育ちますので、スペースの確保も必要です。
①植え付ける場所の土に、深さ40cmくらいの深めの植え穴を掘り、堆肥や腐葉土を多めに混ぜて良く耕しておきます。元肥の緩効性肥料も施しておきましょう。
②ポットから取り出した苗を入れて、高さを調整します。
③周りにも土を入れたら、土の表面を手のひらで軽く押さえます。
④たっぷりと水やりします。

株が年々大きくなり、根もぐんぐん張りますので、地植えで育てる方が植え替えの手間がかからず、育てやすいですよ。
鉢植えの場合
8~10号(直径24~30㎝)程度の、大きくて深めの植木鉢に植え付けましょう。
①植木鉢の底に、鉢底石を1.5cmくらい敷きます。
②鉢底石の上に、鉢の深さの3分の1位の所まで土を入れます。元肥の緩効性肥料を施しておきましょう。
土は、肥沃で水はけの良い土が適しています。市販の草花用培養土かまたは、赤玉土4:鹿沼土4:腐葉土2で配合した土でも大丈夫です。

市販の培養土を使う場合でも、軽石小粒や川砂などを混ぜて、さらに水はけを良くして使ってもいいですね。
③土の上にポットから取り出した苗を置いて、高さを調整します。
鉢の縁ギリギリまで土を入れるのではなく、鉢の縁から1.5cm位下に苗を植えた時の土の表面が来るように、ウォータースペースをあけておきましょう。
④鉢底から流れるくらい、たっぷりと水やりします。
植え替え
適期は、秋(9~10月頃)です。
地植えの場合・・・一度植え付けたら、5~10年ほどは植えっぱなしで管理します。
鉢植えの場合・・・根詰まりすると花付きが悪くなりますので、2~3年に一回程度植え替えましょう。

株分けを兼ねて植え替えても良いのだっぴ―!
水やり
地植えの場合・・・根付いた後は、水やりの必要はほとんどありません。真夏などに、雨が何日も降らず乾燥が続く場合には、たっぷりと水やりします。
鉢植えの場合・・・土の表面が乾いたら、鉢底から流れるくらいたっぷりと水やりします。特に真夏は、水切れしないように気を付けましょう。
肥料
植え付けの時に、元肥の緩効性肥料を施します。
その後の追肥は、早春の2月頃、花後の6月頃、翌年の花芽が出来る9月頃の3回、株元から少し離れた場所に、円形に、油粕、骨粉、化成肥料等をたっぷりと施しましょう。

良いお花を咲かせるためには、たくさんの肥料が必要なのだっぴー!
病害虫
灰色かび病
湿度が高く、日照が少ないとかかりやすいです。蕾や葉に、褐色の斑点が出て広がります。放っておくと全体が溶けるように茶色く枯れてしまいます。気付いたら薬剤を散布して、被害を食い止めます。
うどん粉病
高温で風通しが悪いとかかりやすいです。葉や茎、蕾などに、白い粉の様な菌が広がります。初期であれば、患部を取り除いて、薄めた酢をスプレーして食い止めましょう。
ネコブセンチュウ
寄生されると、根にコブのような塊が出来て生育が悪くなってしまいます。一度寄生されると食い止めるのは難しいですので、植え付けの時に予防薬を散布しておくとよいです。
必要な作業
花がら(咲き終わった花)摘み
花が終わったら、花がらをすぐにカットしておきましょう。散った花びらも、取り除いておきましょう。
芽かき
脇から伸びてくる小さな芽(脇芽)を摘む作業です。一枝に多くの花を咲かせずに、一つのお花を大きく咲かせるために行います。脇芽は根元から摘み取ります。

芽かきをしなくても、十分にお花を楽しむ事ができますよ。大きなお花に育てたい場合には挑戦してみて下さいね!
摘蕾(てきらい)
一本の茎には、通常いくつか蕾が付きます。そのまま育てると、花が小さくなり、咲かないものもあります。頂部の大きな蕾だけを残して、脇の蕾は摘み取っておくと良いです。
剪定、切り戻し
冬場は地上部が枯れます。枯れたら地際で切り取っておきましょう。
マルチング
根を保護するために、適宜株元のマルチングを行いましょう。
まとめ
シャクヤクはとても豪華で大きいお花を咲かせてくれます。とても見応えがありますので、お庭がパッと華やかになります。わが家でも、2種類のシャクヤクを育てていましたが、一種類は残念ながら枯れてしまいました。今は一種類だけを大切に育てています。半日陰の場所に植えているからか、多くのお花は咲きませんが、それでも毎年新芽を出して咲いてくれると、とても嬉しくなります。肥料は適宜施しますが、それ以外はほとんど植えっぱなしでも大丈夫です。ツヤのある葉も素敵ですよ。ぜひ育ててみて下さいね!おすすめです。
シャクヤク(芍薬)の育て方のポイントは・・・
- 日当たりと風通し、水はけの良い場所で
- 真夏の強い日差しや西日を避けて
- 肥料を適宜施して


あなたのお庭やベランダに、豪華なシャクヤクのお花が咲きます様に。


素敵に咲いてくれるのが楽しみだなっぴ―!
コメント