日本でも古くから親しまれているユリは、香りが良く、華やかでパッと目をひくお花です。
初心者でも育てやすく、毎年素敵なお花を咲かせてくれます。
今回の記事では、ユリの球根の植え付け方や増やし方、お手入れの仕方などについてご紹介します。
ユリはどんな花でしょう?
原産地は、日本を含む北半球の温帯地域です。日本では、ヤマユリやササユリ、テッポウユリなどが野山に自生しています。
地面から花茎を立ち上げて、先にいくつかお花を付けます。大きめのお花は、一輪咲くだけで、とても豪華で存在感があります。花色は白、ピンク、黄、オレンジ、赤、複色などがあります。咲き方や開花時期は品種によってさまざまです。

現在では数多くの園芸品種があり、交配してつくられた品種には大きく分けてオリエンタル系とスカシユリ系の2つの系統があり、広く流通しています。
野生種では、テッポウユリやササユリ、ヒメサユリなどがよく栽培されています。
地植えでも、鉢植えでも育てる事が出来ます。栽培はそれほど難しくないですので、初心者の方でも育てやすいです。
また切り花にしても、花持ちが良く、長い期間楽しむ事が出来ます。

我が家でも、いろいろな品種のユリを植えています。花の咲く時期が違うものを植えると、お花のリレーを楽しむ事が出来ますよ!

春のお花が、一通り落ち着いてきた時期に咲き始めてくれるのだっぴー。
ユリ |
科名 ユリ科 |
特性 耐寒性球根植物 |
花期 6~7月頃 ・スカシユリ系(5月下旬~6月上旬) ・鉄砲百合(6月中下旬) ・オリエンタル系(7月中下旬) |
草丈 50~200cm |
耐寒性 強 耐暑性 普通 |
ユリの育て方は?
適した場所
日当たりと水はけの良い場所が適しています。明るい半日陰の場所でも、大丈夫です。
どちらかというと、葉の細いユリ(テッポウユリやスカシユリ、ヒメユリなど)は日当たりを好み、葉の広いユリ(オリエンタル系など)は明るい半日陰を好みます。
夏越し
球根が埋まっている場所の、地温が高くなるのは苦手です。
地植えの場合・・・株元に下草を植えておくと、夏場の直射日光を遮ってくれますので、地温が上がるのを防ぐ事が出来ます。
鉢植えの場合・・・夏場は風通しの良い、涼しい半日陰の場所に移動させると良いでしょう。また梅雨と春秋の長雨の時期にも雨に当てないように、鉢を軒下などへ移動させましょう。
増やし方
分球か、木子(きご)やムカゴを植え付けて増やす事が出来ます。
分球で増やす場合
大きい球根を掘り上げると、2つに分球していることがありますので、これを分割してそれぞれを植え付け、増やします。
木子やムカゴで増やす場合
種類によって、木子(きご:地下茎の節にできる小さな球根)やムカゴ(オニユリで花が終わった後に、葉の付け根に出来る小さな球状のもの)ができるので、それを植え付けて増やす事が出来ます。

木子やムカゴは小さく、生長するのに時間がかかります。開花するまで数年かかることもありますので、気長に育てましょう。
植え付け
適期は10~11月頃です。
球根を選ぶ場合は、球根の下から根がよく伸びているものを選びましょう。また、表面が乾燥していたり、しなびていたりするものは避けます。ユリの球根は乾燥に弱いですので、購入後は出来るだけ早く植え付けましょう。
地植えの場合
草丈が大きくなる品種は、花壇の後方に植え付けましょう。
①球根を植え付ける場所の土に、堆肥や腐葉土を混ぜて、深めに(深さ30cm位)よく耕しておきます。さらに水はけを良くするために、軽石小粒や川砂などを混ぜても良いです。
②植え穴を掘り、球根の高さの2個分の土がかぶる深さに植え付けます。元肥の緩効性肥料を土に混ぜておきましょう。
③球根に土をかぶせたら、土の表面を手のひらで軽く押さえます。
④たっぷりと水やりします。
*いくつかの球根を植える場合は、球根の直径3個分以上間隔をあけましょう。

鉢植えの場合
球根の横幅の3倍程度の直径と、深さのある鉢を選んで植え付けましょう。
①植木鉢の底に、鉢底石を1.5cm位の高さまで敷きます。鉢底石は、ネットに入れておくと扱いやすいです。
②鉢底石の上に、鉢の深さの3分の1位の所まで土を入れます。元肥の緩効性化成肥料を土に混ぜておきましょう。球根を土の上に置いて高さを調整します。球根の上に、球根の高さ1個分以上の土がかぶさるようにします。
また、鉢の縁から1.5cm位下に球根を植えた時の土の表面が来るように、ウォータースペースをあけておきます。
土は、水はけと水持ちが良く、通気性の良いものが適しています。市販の草花用培養土か球根の土、赤玉土7:腐葉土3で配合した土でも大丈夫です。いずれの場合も、さらに鹿沼土や川砂、軽石小粒などを混ぜても良いです。
③球根の上に土を入れたら、土の表面を手のひらで軽く押さえておきます。
④鉢底から流れるくらい、たっぷりと水やりします。


ユリの根は、球根の下に出る根がしっかりと茎葉を支えてくれます。また球根の上にも地下茎から根が伸びて、水分や養分を吸収します。球根を浅く植えてしまうと、上根が伸びるスペースが少なくなってしまいます。

下根と上根では、役割が違うのだっぴー。ユリの球根は、深く植えるのが大切なのだっぴー!
植え替え
球根を掘り上げる場合は、秋に葉が枯れて茎を切り取った後に掘り上げます。百合の球根は、表皮が無くすぐに乾燥しますので、掘り上げた後はすぐに植え替えるようにします。
やむを得ず後日に植え付ける場合には、湿ったおがくずやピートモスなどを入れたビニール袋に球根を入れて、冷暗所で保管します。時々、霧吹きで水をかけて湿らせるようにしましょう。
地植えの場合・・・2~3年間は、植え替えの必要はありません。
鉢植えの場合・・・毎年、植え替えましょう。
水やり
植え付けの時に、たっぷりと水やりします。乾燥には弱いですので、雨が少ない時期には気を付けましょう。
地植えの場合・・・植え付けた後は、特に水やりはしなくても大丈夫です。何日も雨が降らず、乾燥が続く場合には水やりしましょう。
鉢植えの場合・・・土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりします。花が終わった後も、葉が枯れるまでは、水やりを続けます。
肥料
植え付けの時に、元肥の緩効性肥料を施します。
その後の追肥は、生育期間中に、薄めた液肥を2週間に一度程度施しましょう。
病害虫
球根腐敗病
球根が土の中で腐り、発芽しなくなります。発芽しても、葉の緑色が薄くなり、地上部が赤く変色して枯れてしまいます。地温が20℃以上で発生しやすいです。
青カビ病
球根に茶色の斑点が現れ、やがて腐ります。排水を良くして、多湿にならないように育てます。掘り上げた時に、病斑が見られた場合は残念ですが処分します。
葉枯病
湿度が高く長雨が続くような時期に、葉や蕾に褐色の小さな斑点が現れ、次第に広がって株が枯れてしまいます。見つけたら病気の部分を取り除きます。降雨などによる泥のはね返りが葉に付着しないように、マルチングなどをしておきましょう。
ウイルス病
植物にさまざまな病気を引き起こす、ウイルスによる感染病です。病気の種類によってさまざまな症状が現れます。一度感染すると、治療が難しいですので、残念ですが抜き取り処分します。
ワタアブラムシ
成虫と幼虫が葉裏などに付いて汁を吸い、植物の生育を衰えさせます。またウイルス病を媒介します。見つけたらすぐに取り除きます。植え付ける時に、粒状の殺虫剤をまいておくと良いです。
必要な作業
花がら(咲き終わった花)摘み
花が咲き終わったら、花の付け根の部分で摘んでおきましょう。なるべく茎と葉を多めに残すようにします。秋に葉が枯れて来たら、茎を地際で切り取ります。

茎と葉で作った栄養で、球根を太らせるのたっぴー!
その他
枯れた下葉などは、摘み取っておきましょう。風通しが良くなります。
まとめ
ユリは、とても豪華に初夏の庭を彩ってくれます。花茎が立ちあがって、たくさんの蕾を付けるとワクワクと嬉しくなります。わが家でも大きく育ち、私の身長を抜かすほどの草丈に育つ品種もあり、とても見応えがあります。切り花にして室内に飾っても、とても良い香りのお花を長い期間、楽しむ事が出来ます。(雄しべの花粉が服に着くと色が落ちにくいですので、花が開いてきたら早めに花粉の部分を摘んでおくと良いですよ。)栽培はそれほど難しくありませんので、初心者の方でも大丈夫です。まずは球根一球からでも、ぜひ育ててみて下さいね!
ユリの育て方のポイントは・・・
- 日当たりと水はけの良い場所で
- 乾燥のし過ぎには気を付けて
- 深めに植え付けて


あなたのお庭やベランダに、たくさんのユリのお花が咲きます様に。


豪華にたくさん咲くのが、楽しみだなっぴー!
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